コラム

摂食障害治療における目標体重とは?②

2014年03月14日

摂食障害治療において体重の回復は大切なことです。
しかし、治療の最終目標を“体重を増やすこと”に置くのであれば、治療の本質を見失い、しばしば再発を繰り返すようになります。

治療においてみるべきものは常にその心です。
頭でわかってもしばしば行動につながりませんが、心でわかったものは必ず行動に表れます。
それが一定レベルを超えた行動になると、体重につながるのです。

この論理を理解しておくことが重要なのです。
では、「結局は体重が増えればそれでいいのではないか?」と思われるかもしれません。
そうではありません。
この論理を理解するならば、
「その体重が増えるときの心が、どのような心なのか?」
「どのような心が行動につながり、体重の回復につながっているのか?」
そこを見なくてはならないということです。

例えば、入院治療が始まったところ、体重を増やさないと退院ができないためにとにかく体重を増やそうとするということがあります。
そのときの心が「とにかく体重を増やして病院を出たい」という心だけで頑張っているとき、本人の心の目標は“治すことではなく、退院すること”にあります。
であれば、退院すると同時に目標は達成されてしまうわけですから、再び病気の自己にとらわれて食べられなくなり、体重は減っていくわけです。

体重だけを見る治療ではこうした落とし穴に落ちるわけです。 
摂食障害の治療には行動制限療法という治療法がありますが、この治療は施設によって治療成果にかなり差があるそうです。
それは行動制限療法の表面的な技術だけを見て体重を増やすことだけを目的としているのか、それとも、体重を増やす過程にあるその心を見つめながら治療を行っているのか、その差だと思われます。

よって、ここで述べたいのは「摂食障害治療における目標体重とは?」というテーマを語るときに「治療の本質を見失わないで下さいね」ということです。
結果として目標体重というものがあり、それを目指すことが必要なのですが、それ以上に見つめるべきはその心です。
「どのような心が行動につながっているのか?」
「その心が根本的な治癒につながる心なのか?」
その視点を忘れてはならないと思います。


本当の自分に目覚め、幸せに生きるダイヤモンドの心の医療