拒食症治療を始める前の約束③~「最低週1回の診察を」~
2014年02月01日治療を始めるにあたって3つ目の約束は「必ず週1回は診察に来て下さい」です。
なぜ週1回の診察を受けなければならないのでしょうか?
本気で治療に向き合おうとしているならば、本人たちにはわかるはずです。
診察を受けて「よし、頑張ろう!」という気持ちになっても、家に帰ると数日もしないうちに「でも、やっぱり怖いし…」という病気の自己の思いに襲われ、元の状態に戻ってしまうということを…。
診察はそれをリセットする場です。
わかりやすく述べると、「本当の自己<<<病気の自己」の状態を、何とかして「本当の自己>病気の自己」のレベルに持ち込み、治療に取り組めるような状態にするのが診察なのです。
診察後は1日でも長く「本当の自己>病気の自己」の状態で治療に取り組んでもらい、もし「本当の自己<病気の自己」になれば再びリセットする。
この繰り返しです。
もしリセットできないような診察であれば、診察の意味はかなり低いかもしれません。
その場合、摂食障害を治すことは非常に難しくなるでしょう。
重症の人の場合、1日もしないうちに元の状態に戻ってしまうので、週1回の診察でも追いつきません。
しかし多くの場合は、3日前後頑張って元の状態に戻るというパターンなので、週1回の診察でリセットできると徐々に頑張れる力が上がってきて、1週間続けて治療の課題に取り組めるようになります。
1週間後に診察を糧にして取り組めるようになるのです。
しかし、2週間に1回の診察となるとどうでしょうか?
3日頑張っても、残りの11日が病気の自己に支配された状態になります。
そうすると診察では、課題に対してもう一度最初から取り組み直さなくてはなりません。
こうしたことを繰り返していると、いつまで経っても状態は変わらず、前進することができません。
その結果、無力感とあきらめの気持ちに襲われ、いずれ治療を挫折するのです。
よって、通院治療では最低週1回の診察を、重症な拒食症の治療を行う入院治療ではそれ以上の診察を必要とします。
仕事の都合で診察に行くことができない。
遠いから診察に行くことができない。
いろいろと事情はあります。
しかし、拒食症の治療は人生を賭けた治療であり、ときとして奇跡に向かっての挑戦です。
仕事はまた見つかりますが、治療の機会を逃すと、治せる可能性はどんどん消失していくのです。
拒食症治療を行うためには、
『診察を何よりも最優先する』
という意識が必要です。
具体的には、最低週1回の診察が必要です。
そうして初めて治療を成功に導くための舞台が出来上がったと言えます。