コラム

【摂食障害】過食症治療を行うための条件-「過食症を治す③」-

2013年11月11日

過食症治療を行うための条件-「過食症を治す③」-

過食症の治療を行うにあたって、どのような治療者を選ぶかは重要なことです。
論理だった治療法を知り、治すことへの見通しを持っている治療者と出会わなければ、過食症を治すことは極めて難しいことです。

一方、そうした治療者であっても、しばしば治療がうまくいかないことがあります。
それは治療を成功させるには、過食症の人自身がある条件をクリアーしなければならないからです。
その条件とは何か?
1. 正直に話す
2. 治療者がいいと言うまで治療(通院)を続ける
この2点です。

普通の人が聞くと、当り前のようであり、簡単なことのように思うかもしれません。
ところが、過食症の人にとっては、この2つの条件がしばしば治療の障害となるのです。

「正直に話す」とはどういうことか?

過食症など摂食障害になる人には“いい子”が多く、しばしば治療者の前でも、いい顔を見せようとします。
例えば、治療者から「このようにしてみたらどうかな?」と提案されると、心の奥では「とても無理」と思っていても、「はい。頑張ります」と答えてしまいます。
「前回、お話したことはできたかな?」と訊ねると、本当はできてなくても「はい」と答えてしまいます。

本人は、決して嘘をつきたいわけではありません。
けれども、ダメな患者だと思われたくないのです。
ダメな人間だと思われたくないのです。
怒られたくないのです。
そのためについつい、いい顔を見せようとするのです。

客観的に見ればわかることですが、これでは治療になりません。
単なる“治療ごっこ”です。

もちろん治療者も、過食症の人のそうした心の傾向性を見抜いて言葉を選び、話しかけなければなりません。

けれども、本人自身も治療に臨むにあたって
「どんなにうまくいかなくても、ダメな子だと思われても、正直に話そう」
と決意することが必要です。
過食症をよく理解している心ある治療者であるなら、決してダメな子とは見ません。
見ているのは、その人のダイヤモンドの心であるはずです。

次に、「治療者がいいと言うまで治療(通院)を続ける」とはどういうことか?

本格的な治療を始めると、今まで自分が目をそらしていた自分の問題と向き合うことを余儀なくされます。
治療者は、決して本人を責めることはありません。
しかし、その人がどうしても向き合い、乗り越えなくてはならない問題については向き合うように導きます。
そのときに、治療を続けることに抵抗を感じるようになります。
そして、自ら治療(通院)を中断してしまうのです。

どんなに抵抗を感じても、どんなに苦しく感じても、治療者が差し伸べる手を離さずにつかんでいる人はいずれ治るときがきます。
治療者が治せる治療者であり、あきらめない人であるなら、治るときがきます。
しかし、自らその手を離してしまったなら、その機会を失ってしまいます。

ですから、過食症の治療に臨むにあたっては、この2つの条件を絶対に実行することが必要となります。
これは治療を成功に導くための意外な盲点です。

過食症の人自身がこの2つの条件のクリアーを決意する。
2つの条件の実行を治療者と約束する。
そうして治療に臨むことが治療を成功させるコツでもあります。

 


本当の自分に目覚め、幸せに生きるダイヤモンドの心の医療