コラム

【摂食障害】過食症とは何か?-「過食症を治す①」-

2013年11月11日

過食症とは何か?-「過食症を治す①」-

「摂食障害」
「拒食症」
「過食症」
20年前のバブル全盛期の頃、こうした病名は、まだごく一部の人にしか知られていませんでした。
今、ほとんどの人はこの病名をどこかで耳にしています。
それはこの病気になる人たちが増え、マスコミに取り上げられるようになってきたということを意味しています。

ここではそのうちの「過食症」について取り上げてみたいと思います。

過食症とはどのような病気でしょうか?
その定義はICD-10という診断基準によると、次のように書かれています。
発作的に繰り返される過食と体重のコントロールに過度に没頭することを特徴とする 。
(1) 持続的な摂食への没頭と食物への抗しがたい渇望が存在する
(2) 患者は食物の太る効果に、1つ以上の方法で抵抗しようとする
(3) この障害の精神病理は肥満への病的な怖れから成り立つもので、患者は自らに厳しい体重制限を課す

要するに、普通では考えられないような量の食べ物を食べてしまう(過食)。
その一方で、「絶対に太りたくない(肥満恐怖)」「普通以上にやせたい(やせ願望)」という強烈な思いのもと、食べたものを吐いたり、下剤を乱用したり、過度に運動に没頭したりして、低体重を維持しようとする。
これが典型的な過食症です。
もちろん、必ずしもこれらのすべての条件を満たさない、ただ過食してしまうだけというような非定型的な過食症もあります。

では、これらの症状を持つ人をなぜ、過食症という病気として見るのか?
あるいは、摂食障害という障害として見るのか?
それがこの病気の理解への第一歩です。

病気ではない一般の人からすると、
「過食をやめられないなんて、単に意志が弱いだけではないのか?」
「甘えているだけではないのか?」
と思うことがあります。

しかし、単なる意志の問題ではなく、甘えの問題ではなく、
“自分でもやめたいのにやめられない”
それが病気と言われる所以(ゆえん)です。
自分の意志ではコントロールできないから病気であり、障害なのです。
自分の意志ではコントロールできないというこの理解こそが過食症を脱するための第一歩です。

大部分の過食症の人たちは自ら苦しんでいます。
自分ではどうしようもできずに苦しんでいます。
それを家族や友人などの周囲の人たち、そして、何よりも医療者が理解することです。
そのときに真剣な治療への第一歩が始まります。
妥協のない真剣な治療の中でしか、治癒へ導く的確な治療法を見つけることはできない。
それがこの病気をなかなか治すことができない理由だと言ってもいいと思います。

 


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