【思春期】基本的安心感を育てるには?②
2013年11月11日基本的安心感を育てるには?②
基本的安心感を育てるのに大事な二つめのポイントは、
「だめな子どもを受け入れてあげる」
ことです。
具体的に述べると、
「子どもがダメなことをしたときこそが、基本的安心感を育むチャンスである」
ということです。
基本的安心感とは「無償の愛で受け入れてもらっている」という安心感です。
これは、子どもが頑張ったときにほめているだけでは培われません。
子ども自身が「これはダメだな」「悪いことをしたな」と思うような行動をとったときに、受け入れる言動を投げかけてあげることによって初めて培われるものなのです。
子どもがテストで悪い点数をとってきて、それを見せたとき、大抵の親は「もっと勉強をしないとダメだね」といったことを話します。
しかし、それだけではなく、
「でも、悪い点数でもちゃんとテストの結果を見せたのはえらいね。
もしかしたら、お母さんに怒られるんじゃないかと思ったんじゃないかな?
それでも、勇気を出して正直に見せることができたのはえらかったと思うよ」
とか、
「テストでいい点数をとるのは大事。
けれども、悪い点数をとっても明るく、元気にしているのはもっと大事なことだよ。
生きているとこれから先も失敗したり、うまくいかなかったりすることがある。
そのときにこれでもう自分はダメだと思ってしまうのが一番良くない。
失敗しても明るく、元気に生きていく強さがあれば、どんな試練だって乗り越えていける。
だから今回はテストの点数は悪かったけれど、明るく、元気なら、お父さんやお母さんはOKを出してあげるよ」
このように
“私たちはあなたという人間そのものを受け入れているんだよ”
というメッセージを投げかけてあげることが大事なことなのです。
私の記憶が確かであれば、WBC世界バンタム級チャンピオンだった辰吉丈一郎にこんなエピソードがあります。
幼少時、外に遊びに行こうとする丈一郎に、父親が
「こけたら立てよ。池でおぼれたら泳げよ」
と声をかけていたそうなんです。
普通の親であれば、
「こけないようにね。池は危ないから近付いちゃダメだよ」
と声をかけると思います。
全く逆ですね。
一見、丈一郎の父親は無謀なことを言っているようですし、「それでこけたり、おぼれたりしたらどうするの?」という問題はありますが、この父親の声かけは丈一郎の心に安心を与えたのではないかと思います。
「失敗してもいいんだよ。
失敗しても、そこからもう一度立ち上がればいいんだよ」
丈一郎の心にそうしたメッセージを植えつけたのだと思います。
その後の彼はチャンピオンの座から陥落しても、故障をしても、何度も何度も再チャレンジして、一度はチャンピオンの座を奪還しています。
そして、その生き様は多くの人の心に感銘を与えています。
ときには、子どもに失敗させることも大事なことです。
失敗をしても受け入れてあげる。
また立ち上がればいいと教えてあげる。
こうしたメッセージを送り続けていると、基本的安心感は育まれていきます。