【思春期】回復をあせらない
2013年11月11日回復をあせらない
「あせらないようにね」
こうした助言を受けてもわかったようで、わからないものです。
なぜなら、「あせらないように」という助言はとても抽象的だからなんですね。
ここでいう「回復をあせらない」とは具体的には、
「回復過程は『3歩進んで2歩戻る』というペースで進むものと知る」
ことです。
心の問題や病気というのは、「良くなり始めて、そのまま良くなる」ということは滅多にありません。
良くなりかかっても、また病気の症状が出る、問題行動を起こすのが普通です。
プラスの方向に進もうとしても、それまでにずっとマイナスの方向に進んでいたためにマイナスの方向に進もうとする慣性の法則が働いて、再びマイナスの症状や問題行動が出てくるんです。
このことを知らないと、しばしば絶望してしまいますね。
「また、症状や問題行動が出てきたの。
やっぱり治ってないんじゃないの」
と。
しかし、回復過程が『3歩進んで2歩戻る』というペースで進むということを知っていれば、そのように絶望することはありません。
「まあ、そんなものだろう。
ある意味、予想通り。
それよりも、少しでもプラスの方向に進むことができたということはそれだけ力が回復してきたということなんだ。
逆戻りしたことに、絶望さえしなければいい。
そうすれば、必ずまたプラスの方向に進み始める」
そのように考えることができます。
その結果、実際に3歩進んで2歩戻りながらも、また進み始め、1歩1歩進むことができるようになるのです。
だから、子どもに良くなる兆しが見えたときに、親は一緒になって大喜びするだけであってはいけません。
また、「良くなってきたんだから、さらにもっと頑張ってね」と煽(あお)ってプレッシャーをかけてもいけません。
良くなる兆しが見えたことに喜びながらも、
「よくなるときは『3歩進んで2歩戻る』というペースで進むものなんだ。
だから、無理せずに自分のペースでやっていけばいいんだよ」
という助言を与えてあげることが大切です。
この助言は、“子どもの心にとっての保険”なんですね。
これによって、子どもの心のプレッシャーは解き放たれ、より主体性を持って前に進むことができます。
すると、3歩進んで2歩戻るところが、1歩でとどまることもしばしばとなります。
こうして、ますます順調な回復を期待できるようになるのです。
順調な回復を期待するには、一緒になって大喜びしたり、さらに煽(あお)ったりしてはいけません。
逆に、あせらずに、『3歩進んで2歩戻る』というペースで進むものだと知って関わるのがいいのです。