コラム

【医療者の心を守る】医療者の心を守る⑥

2013年11月11日

医療者の心を守る⑥

医療者には様々な苦しみがあります。
特に、心の医療に携わる医療者には、心の医療に携わるものならではの苦しみがあります。
そのひとつに、同僚の医療者から投げかけられるストレスというものがあります。

医療者にとって非常に厳しいのは、問題行動等の多い対応の難しい患者様の担当となり、その責任のすべてをひとりで負わされることです。

例えば、入院患者様の中には、病棟内で他の患者様に対する迷惑行為を繰り返す人がいます。
しかも、医療者に対しても威嚇してくるような人がいます。
こうした患者様の場合、やはり誰もが関わりを避けたいと思います。
その結果、思慮が浅く、心ない医療者は、その責任のすべてを担当の医療者に押し付けてきます。
「あの患者さん、先生の担当でしょ。
一体、これからどうするんですか?
先生が担当なんだから、何とかして下さいよ」

「患者様の問題」≒「担当の医療者の問題」とされるようなプレッシャーを受けるとき、その医療者は何とも言えない憤りを感じます。
「どうするかって、どうにかできることならやっているよ。
自分も患者様に関わっている医療者であるなら、どうすればいいのか考えてみなさいよ」
品のないことですが、誰もが思わずこうしたことを思ってしまいます。

無責任な態度で、責任を押し付けてこられることへの怒り。
トラブルに十分な対応ができないことに対する自己不全感。
周囲の医療者にも理解されない孤独。
逃げ場のないプレッシャーから、気持ちは落ち込み、精神的な疲労が蓄積されてきます。

こうしたことは、ひとりの医療者にだけ起こることではありません。
誰にも起こりうることです(もちろん、性格によっては、何を言われても意に介さない医療者もいるでしょうが…)。

であるなら、担当の医療者だけに患者様に対する責任を押しつけるのをやめることです。
医療者同士、自分のストレスや不安を、同僚の医療者にぶつけるのをやめることです。

そうではなく、問題行動等の多い対応の難しい患者様がおられたら、「みんなで一緒に考えよう」という体制を作って、お互いに支え合うことです。
責任を分担し、担当者の精神的負担を軽減してあげることです。

患者様に対してだけではなく、同僚である医療者の心にも目を向け、お互いに理解しようという姿勢があるならば、医療者の心には安らぎが生まれてきます。
その余裕は、患者様に対するやさしい眼差しとなって、還元されていくように思います。

 


本当の自分に目覚め、幸せに生きるダイヤモンドの心の医療