【医療者の心を守る】医療者の心を守る④
2013年11月11日医療者の心を守る④
対応困難なケースへの対応方法…。
その最も有効な方法のひとつは
“コミュニケーション技法による限界設定を行う”
ことです。
限界設定とは何か?
それは、
「こちらのできることとできないことをはっきりと相手に伝え、治療の枠組みを明確にする」
ことです。
そのためには、次のことを心がけ、実践します。
「相手の投げかけてくる質問の一つひとつに答えない」
「こちらから発する言葉は最小限度にして、会話を広げない」
「相手がいくら話題を広げようとしても、話のポイントを1点だけに絞り込む」
具体的には、相手の求めてくる質問や要求に対しては「はあ…」「申し訳ありませんが、わかりません」「何とも言えません」といった数種類の曖昧な返事と、「それはできません」といった限界を明確にする返事だけにとどめることです。
たとえ、その質問や要求に対する答えを知っていても、できる限り答えないこと。
それがポイントです。
すると、相手は「では、一体どうすればいいんですか?」と訊いてくるかもしれません。
それに対しても、
「今のところはどうしようもないですね。
申し訳ありませんが、あきらめてもらうしかありません」
このように答えることです。
実は、このコミュニケーション技法による限界設定の最大の目的は、この
“あきらめてもらう”
というところにあります。
ここでいう対応困難なケースの人というのは、
『自分の問題を相手に丸投げして、相手のせいにすることで、自らの力で問題を解決しようとしない人』
のことです。
こうした人への対応というのは、基本的には困難であるのが現実です。
相手にしないというのではありません。
すべてを丸投げしながら、自分の都合のいいように解決するというような魔法のような方法はないということを知ってもらうことが必要なのです。
それが“あきらめてもらう”ということなのです。
問題の解決であれ、治療であれ、
『原則は自己責任でもって主体的に取り組んでもらう姿勢が必要である』
ということに気付いてもらうことが必要なのです。