コラム

【うつ病】うつ病の人への関わり方-「うつ病への対応③」-

2013年11月11日

うつ病の人への関わり方-「うつ病への対応③」-

もし身近な人がうつ病になったら、まず思うのは
「一体、どのように関わればいいのか?」
ということです。

このお話に入る前にひとつ確認しておかなくてはいけないことがあります。
「うつ病」と言っても、いわゆる典型的なうつ病かどうかということです。
ご本人が「うつ病」と言っておられても、また医者が「うつ病」と言っても、最近はかなり幅広い概念でうつ病が捉えられているので、典型的なうつ病ではないことがあります。
その場合、関わり方も変わってくるのですが、ここではエネルギー量がなくなっている典型的なうつ病の人への関わり方について話をしたいと思います。

関わり方を一言で言うならば、
「もしあなたが40℃の高熱を出していたらどのように関わってほしいですか」
ということです。
うつ病の人への関わり方を考えるとき、その方が40℃の高熱を出していると考えると、関わり方は概ね間違いありません。

一般に人は相手が落ち込んでいると、自分の尺度で考えて
「そんなに落ち込んでばかりいないで、気分転換にカラオケにでも行くなり、旅行にでも行ってきたらどう?」
といったような声かけをします。
しかし、もし相手が40℃の高熱を出していると考えたなら、そのような声かけをするでしょうか?
いや、絶対にしないでしょう。その代りに、
「とにかく無理しちゃだめよ。
何もしないで家でゆっくりと休みなさいね」
そのように声をかけるはずです。
これが、うつ病の人への最も望ましい声のかけ方なのです。

うつ病を怠け病のように考える人は、しばしばうつ病の人に
「お前は甘えているだけじゃないか。
誰でもみんなしんどいんだ。
お前も気合を入れてもっと頑張れ」
というような説教や励ましをすることがあります。
しかし、もし40℃の高熱を出していると考えたなら、どうでしょう?
そのような説教や励ましは絶対にしないでしょうし、むしろ声かけさえも控えてそっとしておいてあげようとするはずです。
それがうつ病の人にとって最も心が休まる関わりなのです。

食事にしてももし40℃の高熱を出していると考えたなら、無理には勧めないでしょう?
熱が少し下がったときに、
「食べられるだけ食べたらいいからね。
無理しなくていいよ」
そんなふうに声かけをするはずです。

うつ病の人に対して、自分が落ち込んだ時のことをイメージして関わったならその関わり方は概ねずれています。
自分のイメージする落ち込みは、まだ正常範囲の落ち込みであって、うつ病の人の落ち込みとはレベルが違うのです。
身近にうつ病の人がいるときには自分の感覚で捉えてはいけません。
「もし自分が40℃の高熱を出していたらどのようにしてほしいか」
という視点で考えていただきたいと思います。
そうすれば、うつ病の人は周囲の人の関わりによって『心の居場所』を確保し、最も望ましい休息をとることが出来ます。
それが治療においても、とても重要なことなのです。

 


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