【思春期】思春期外来とは何か?
思春期外来とは何か?
ここでは思春期の定義などは述べません。
思春期外来の実際について語りたいと思います。
思春期外来とは、
「思春期の子どもたちを対象に、(単なる病気を超えた)思春期特有の問題について取り扱う外来」
のことです。
思春期特有の問題って何でしょう?
具体的に思春期の心の問題をあげてみますね。
・ 不登校
・ 家庭内暴力
・ リストカット症候群などの自傷行為
・ 起立性調節障害や過敏性腸症候群などの心身症
・ 拒食症や過食症といった摂食障害
・ 解離性障害
・ 統合失調症
・ 躁うつ病
・ 強迫性障害 …などなど。
こうして見ると、不登校、家庭内暴力、自傷行為といった最初の3つは病気でありません。
ひとつの問題行動ですね。
次の3つは、そのほとんどが思春期の年頃に発症する病気ですね。
最後の3つは、いわゆる一般的な心の病気です。
ですから、最後の3つは必ずしも思春期特有とは言い難いのですが、最初の6つが思春期特有の問題であり、思春期外来の対象となるわけです。
ただ最近では思春期の年頃を超えて、20才を超えた青年期になってもこうした問題を抱えている人も多く見られます。
ある意味、思春期の心性を抱えたまま青年期になっている人が多く、問題を引き起こした場合、思春期と同じような治療に取り組む必要があるのです。
さて、心療内科や精神科における一般外来と思春期外来では、取り扱う問題の他に、何が異なるのでしょうか?
これについては、専門家たちは様々な意見を述べられると思います。
ただ私の見解は一言で述べるなら、
“医者の見るべき視点が異なっている”
と思います。
一般外来では病気そのものをみる視点が強く、思春期外来では人間そのものをみる視点が強いのです。
そして、この違いこそが一般的な心療内科医や精神科医であっても「思春期外来はできない」という理由なのです。
医者は病気をみることは学んでいても、人間をみるということについては個人の努力に委ねられており、系統だった勉強ができていないのです。
単に病気だけをみるのではなく、人間そのものをみて、
“その子どもの持つ主体的な力をいかにして引き出すか”
“いかに成長に導くか”
これが思春期外来の本質です。
ときに薬を使い、ときにカウンセリングを行い、ときに教育的な関わりを行う。
そして、子どもだけではなく、ときに親に対しても同様のことを行う。
非常に難しく、多大なエネルギーを必要とし、そして、何よりも医者自身の人格が試される、それが思春期外来です。
ちなみに、私は公(おおやけ)には思春期外来を行っていません。
思春期外来を求めておられる方はあまりにも多く、新患としてはどうしてもという方のみ、週に1~2人だけみさせていただいています。
何とかご要望にはお答えしたいのですが、クリニックの外来は再診の予約がほぼいっぱいの毎日で、みさせていただく数にはどうしても限界があるからです。
現在では、遠くは関東や九州などの遠方から頼ってきて下さる方もおられますが、交通費などの問題もあって通院が難しかったり、あるいは予約がなかなかとれなかったりする方もおられます。
そこで、少しでも何かお役に立てることができればと思い、こうしたブログでその極意を語っていきたいと思い始めたわけです。