コラム

【思春期】回復の兆候①

2013年11月11日

回復の兆候①

心の回復の兆候はどのようにつかむのか?

一般的には、問題行動や症状がなくなれば、よくなっていると見るでしょう。
しかし、いつも話すように目先の問題行動や症状だけを見ていると、その子どもの真の姿を見ることはできません。
問題行動や症状がなくなったと思っても、一時的なものであったり、親の前だけでいい子を演じていたりすることがありますからね。

心の回復の兆候をつかむには、
『いつもその子どもの目と表情を見つめる』
ことです。

私も初めて会う方の場合、よくわからないことがありますが、何度か通院していただいていると、その方の目と表情、声の抑揚などで今の調子が見えるようになってきます。
「何となく表情が和らいできたなあ」
「明らかに表情がすっきりとしてきたんじゃないかな」
「声に張りが出てきたな」
こうした感覚でつかむ情報は、科学的には客観性に欠けているように見えますが、何よりも確実です。

例えば、拒食症の方が「きちんとご飯を食べて頑張ってきた」などと言っても、表情が乏しく、その目が死んだような感じになっていれば、何かごまかしている可能性もあるし、頑張っていたとしても行き詰まるのは時間の問題です。
目先の問題だけを見て、「ご飯を食べて、もっと体重を増やすように」などと心がしぼむような言葉かけをしていては意味がありません。
心に伝わっていませんからね。
心に響くような言葉かけこそが必要であり、もし心に響いたなら、相手の目や表情には必ず何か明らかな変化が見えるものです。

いつも目や表情に光が差し込んだかどうかを見ることです。
意外に人は、相手の顔を見ていませんからね。
医者であっても、パソコンばかりを見て、全然、患者様の顔を見ていないってことがありますからね。
それでは、相手の真の姿は見えません。

もし、目や表情に光が差し込んできたことを感じとったなら、その感じとったことは相手に伝えてあげるのがいいと思います。
「表情が明るくなってきたね。
本当によくなってきたと思うよ」
「目がしっかりとしてきたね。
そうした目をすることができるなら、きっともっともっとよくなってくるよ」
このようにフィードバックしてあげると、その相手の心には安心感と自身が芽生えてきます。
そうして、さらに回復が促進していきます。
これは思春期の子どもの話をしていますが、大人の方であっても同じです。

 


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